報徳教育部(今月のうた・ことば)

[2020.1.8]

今月のうた・ことば

一月のことば
  打つ心あればうたるる世の中よ
    うたぬこころのうたるるはなし

 この言葉は、二宮尊徳先生の道歌の一つです。現代版報徳全書の『解説 二宮先生道歌選』の中では次のように解説されています。

疑って見れば犬もほえつき、愛して見れば尾を振って来る。敵は打とうとする手の中にある。歴史あって以来数千年、敵対心、勝負心、闘争を生活として来た人類は、これがために巨大な費用と労力と時間とを浪費して来た。この失費を集めて一円融合の生活に資すれば、人類の幸福図り知るべからざるものがあろう。これがこの歌意の内容である。
全世界は打つ心をもって世界をながめ、打たれない用心にこれ日も足らずである。外交も貿易も、己を利することに立脚しないものはない。わずかの交渉でも談判の勝利を形式的に得ようとする。打つと打たれるとの取引、それが世界的な大から一家の夫婦間にも見られる。利害得失勝負の人生、この煩悩が消除せられる一円観の世界を、この歌は明示している。

人間はどうしても「欲」というものを持ち合わせています。この「欲」のままに動かされていないでしょうか?この「欲」が物事の本質を見失ったり、自分の視野を狭めたりしていませんか?また、この歌には「勝負」という題が付けられています。本当に勝負すべき相手は自分かもしれません。この機会に、もう一度自分自身を見つめ直してみてはどうでしょうか。

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