報徳教育部(今月のうた・ことば)

[2020.5.1]

今月のうた・ことば

五月のことば 
 父母の根源は天地の令命に在り
 身体の根源は父母の生育に在り

  
今月の言葉は「報徳訓」の冒頭部分です。新入生諸君は、入学式で校長先生が最後にある文章を朗読していたのを覚えているでしょうか。報徳学園では、この「報徳訓」を大事な式典で必ず朗読します。本来は108字の漢字で書かれています。二宮尊徳先生が遺した人生訓であり、報徳の教えの神髄と言われています。

 父母の根源は天地の令命(れいめい)に在(あ)り 身体の根元は父母の生育に在り
 子孫の相続は夫婦の丹精に在り 父母の富貴(ふうき)は祖先の勤功に在り
 吾身(わがみ)の富貴は父母の積善(せきぜん)に在り 子孫の富貴は自己の勤労に在り
 身命(しんめい)の長養は衣食住の三(みつ)に在り 衣食住の三つは田畑山林に在り
 田畑山林は人民の勤耕に在り 今年の衣食は昨年の産業に在り
 来年の衣食は今年の艱難(かんなん)に在り 年々歳々報徳を忘るべからず

 詳細は「報徳講話」の授業に譲ります。ここでは最初の部分だけ見てみましょう。さて、皆さんは次の詩をどこかで耳にした覚えはないでしょうか。
 
父と母で二人 父と母の両親で四人 そのまた両親で八人 こうしてかぞえてゆくと 十代前で 千二十四人 二十代前では・・・? なんと百万人を超すんです 過去無量の いのちのバトンを受け継いで いま、ここに 自分の番をいきている それが あなたのいのちです それがわたしの いのちです

 これは相田みつをさんの「いのちのバトン」という詩です。道徳の時間に読んだことがある人もいるでしょう。「父母の根元は」というのは、この詩のように、自分の命をさかのぼって考えていくことです。そのうちの誰か一人でも事故や病気で若くして亡くなっていたとしたら、別の人と結婚していたら…と様々な可能性を考えてみると、自分が自分であることが不思議に、ありがたいことだと思われることでしょう。
また、私たちは自然のいのちをいただいて初めて生きていけます。いのちはどうやって生まれたのか、なぜ生物が生きていけるように空気があり、水が流れ、食物が育つのか。尊徳先生はそれを「天地の令命」と結論づけました。「令命」は「命令」に同じです。柔らかく言い換えれば「神様の願い」とでもいっていいでしょうか。ありがたいことに、神様がそういうふうに世界を作ってくださった、ということです。自然に対する感謝と畏敬の念を忘れてはならないことを教えてくれています。

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