在校生・保護者へのお知らせ

[2020.6.1]

今月のうた・ことば

六月のことば
 遊楽分外(ゆうらくぶんがい)に進み、勤(きん)苦分内(くぶんない)に退けば、
                    則ち貧賤(ひんせん)その中に在り
 遊楽分内に退き、勤苦分外に進めば、
                    則ち富貴その中に在り

 
今月のことばには「貧富訓」を選びました。学校の正門を入って左側に石碑も立っています。一度探してみてください。「貧富訓」は「校風三則」にもある報徳の四綱領(至誠・勤労・分度・推譲)のうち、分度を守ることの大切さについて簡潔に説明したものです。二宮尊徳先生の行われた仕法の特徴は分度の設定です。桜町復興では領主である宇津家の分度(この場合は農民から徴収する税金の額)を定め、それを超える収入があれば復興費用に推譲することになっていました。その結果、桜町領は見事に復興を遂げ、天保の大飢饉を乗り越えるほどの立派な村になりました。
「貧富訓」は以前にも今月のことばとして取り上げたことがあります。ただ、新型コロナウイルスの影響で3月から休校が続くなか、ぜひ知っておいてほしいと考え、もう一度取り上げることにしました。漢文調で小難しくみえる「貧富訓」ですが、現代風に書いてみると「遊んだり楽しんだりすることに時間やお金を使いすぎ、やるべき仕事や勉強が疎かになってしまえば、その人は貧乏になってしまう。遊んだり楽しんだりすることを決めた範囲のうちでおさめ、しっかり仕事や勉強を頑張れば、その人は裕福な生活を送ることができる」という意味になります。
休校中は授業もなく、部活の練習もなく、家で自由に過ごす時間が増えていたことでしょう。その時間をどのように使っていたか、思い返してください。学校から配布された課題をすぐに終わらせ、自分に必要な勉強が何かを考えて自学自習していた人もいるでしょう。このような人は「富貴」になります。春休みに配られた課題を5月になっても開けず、夜中までゲームばかりしていた人もいるでしょう。このような人は「貧賤」になります。この3ヶ月間で両者の学力には大きな差が開いてしまったのです。
今回のコロナ禍は、社会が抱えていたさまざまな問題を顕在化させているように思えますが、個人の問題でもそうでしょう。もともと自律できていた人はしっかり課題やトレーニングに取り組めた一方で、自律できない人は堕落した生活を送ってしまう。目の前にあったはずの目標がなくなり、だらけそうになる現在だからこそ、「貧富訓」を読み直し、自分に必要なことを考え、自律心を持って生活していってもらいたいと思います。

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