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[2022.1.1]

今月のうた・ことば

一月のことば

 天地(あめつち)の和して一輪福寿草
   さくやこの花幾代経(ふ)るとも

令和四年、新しい年の始まりです。毎年のことながら、新しい年の始まりというものは身も心も引き締めて過ごしたいものです。
さて、みなさんはこの道歌にある福寿草(フクジュソウ)という植物をご存じでしょうか。フクジュソウは二月(旧暦ではお正月にあたる)ごろ、野山に黄色い花を咲かせるので、「元日草」という呼び名もあります。古い時代からお正月を祝う花として知られてきました。
二月といえば一年でもっとも寒さが厳しい時期で、多くの植物は花を咲かせるどころかひっそりと身を潜めているような状態です。なぜフクジュソウはそんな寒い時期にあえて花を咲かせるのでしょうか。
自然の中のフクジュソウは、花びらの角度を変えて太陽光が花の中心部へ当たるようにしています。そうすることによって花の中心部の温度を上げ、花粉を運んでくれる昆虫を誘いこんでいるのです。他の植物たちが花を咲かせる春に先駆けて花を咲かせることで、競争を避けているとも考えられます。西洋ではフクジュソウのような他の植物に先駆けて花を咲かせる植物を、「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」と呼びます。
枯草に覆われた冬枯れの野山に咲く一輪のフクジュソウ。その黄金色の花は、暖かな春の到来が間近に迫っていることを告げる妖精と見えなくはないでしょうか。天と地の共同作業によって一輪の妖精は私たちの目の前に姿を現します。人の世がどう変化しようとも、自然の行いはいつまでも同じように繰り返されています。

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