報徳教育部(今月のうた・ことば)

[2018.4.4]

今月のうた・ことば

四月のことば

父母も その父母もわが身なり
 われを愛せよ われを敬(けい)せよ

 報徳学園で学ぶ皆さんは、度々に尊徳翁のこの道歌を目に、耳にする機会が多いことと思います。われ(我 自分)は父母祖先と一心同体である、と。当たり前のことですが、父母が、そしてそのまた父母、つまり祖先がいなければ今自分はこうしてこの世に存在することはありません。「報徳訓」の冒頭も「父母の根源は天地の令命にあり 身体の根源は父母の生育にあり」とうたわれていますが、まさしく様々な概念を超えた神秘です。そしてそれは、天地とも一心同体であるともいうことです。私たち人間の肉体的生命は、遡れば父母祖先から、やがては天地の令命(宇宙の本源)に達する、天から与えられた命なのです。それだけ自分は尊い存在であり、われ(自分)を敬愛し尊重することは取りも直さず父母祖先を敬うこと、天地とともに生きるということに他ならないのです。
 この思いを抱いて生きることが「報徳」の一歩です。父母祖先はもとより、天地自然の恵みや多くの人々、物事のおかげで現在の自分がいることを自覚する。受けた恩恵に感謝し、恩返しをする。そのような心を少し持っていれば、身を傷つけることはないようにしよう、換言すれば過ちを起こさないようにしようとの思いに至ります。過ちを起こすことは我が身の傷となるばかりか父母兄弟の名誉まで汚してしまうことにもなります。常に心にとどめて慎む姿勢がそこに生じます。
 これは自分だけではなく、他のすべての人にも当てはまることです。「自分を敬愛する」とは「自分を含むすべての人を敬愛する」ことなのです。皆が自分の良さを、持ち味を生かし合える素敵な円を描いて行きましょう。

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