校長より

中学高校 [2021.11.24]

「私学の書展」を訪れて

表記の書展最終日となった昨日「勤労感謝の日」の午後、神戸さんちかホールを訪問し、小学校・中学校・高等学校・大学すべて合わせて32校、総勢124名の児童・生徒・学生による書道を見てきました。
会場に入り、まず感じたのは小学生の書の迫力でした。大きな字を一字一字しっかり書いているのです。次に一作品一作品見ていきました。そして、いよいよ報徳学園生の展覧されている作品を見に行きました。
蟻田記念館の書道教室で、活動している生徒と言葉を交わすことがあり、今回展示されている作品の一部は知っていたのですが、いざホールに他の作品と並んで掲げられると、うまく表現できませんが、一味違った感覚になりました。
IMG_1442書の私学展

最終日ということで、各部門の入賞結果も書の横に発表されていました。こんなことなら、最初の日と最終日に行くほうがいいなと思いました。私の感性で、一度見て、もう一度見たくなるような「書」がどんな評価を得ているのかを知りたいと感じたのです。
私は、このような書展に行くと、書の横にある楷書の文字を見たり、「書」の意味をスマホで検索したりするのが好きなのですが、兵庫県知事賞を獲得していたK高校生の作品「穿壁」を調べてみると、「穿壁引光(せんぺきいんこう)」という四字熟語が出てきました。中国の故事「壁に穴を開けて隣の家の光を盗み、盗んだ光で勉強をするということから、貧しい生活をしながら勉学に励むこと」がありました。そこには「前漢の匡衡は貧しく、灯油の油を買うことができず、壁に穴を開け、燐家の明かりを盗んで勉学に励んだ」と解説されていました。
その時、私は「16歳で一家が離散し、叔父宅で生家復興を目指した尊徳先生の生き方を学んだ学園生徒がこの四字熟語やその意味を知ったら、どんな風に感じるだろうか」と思いました。尊徳先生が夜の読書に使う行燈の油も無駄にならないと、叔父から指摘された後、自らの働きで菜油を手に入れ、学問に打ち込んだ姿勢を知っている学園生徒なら、、。
書展とは少し話題が逸れてしまいましたが、私は黒い墨で表現さえた「書」を見るのが嫌いではありません。書いてあることは楷書説明や解説を調べないと分からないことばかりですが、文字、書から心に届いてくるものがあるからです。自らがやりもしないのに、偉そうなことを言っていると思われるかもしれませんが、この「私学の書展」で、また一つ心揺さぶられました。
書道を出展してくださった4名の報徳学園生諸君、ありがとうございました。

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