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[2020.10.2]

今月のうた・ことば

十月のことば

咲く花や散る紅葉(もみじば)のさまざまも
 かはる心はいつも一色(ひといろ)

新型コロナウイルスに加え、今年の夏は厳しい暑さが続きました。8月の平均気温はここ100年で最も高かったそうです。
残暑が厳しかった9月も過ぎ、今日から10月が始まります。暑かった夏からまだ一月ほどしか経っていないとはいえ、少しずつ秋も深まってきているようです。
国土の多くを森林が占める日本の季節ごとの自然は、春の新緑や林床に咲く花の色、夏の緑濃い葉の色と緑陰の涼やかさ、五色に彩られた秋の紅葉のように、季節ごとに姿を変える森の装いに代表されます。古来より日本人はそんな森の美しさや、そこから生まれる恵みを歌や絵で表現してきました。日本人が自然を賞賛し畏敬する心は、時代を超えても変わらないものだと思います。
春の花色の可憐さも、秋の紅葉の色艶やかさもそれぞれに人間を楽しませてくれるものです。しかし、それぞれの様相は、春に花となって咲き、秋に紅葉となって散る花木1年の生育の形相に他なりません。春の花と秋の紅葉という対立したかたちではありながら、二つは輪廻を繰り返す一円の上の姿です。
天地、昼夜、生死、善悪…相対しますが、これらはみな一つの円上に存在する円弧です。たくさんの弧が重なりあって一円となる。二宮尊徳先生は、この哲理を詠んだのではないでしょうか。

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