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[2022.4.1]

今月のうた・ことば

四月のことば

まく種のすぐにそのまま生い立ちて
  花と見るまに実る草々

まいた種がすぐに生え育って、花が咲いたと思う間に早くも実になった。この歌は、草木における生育の現実の姿であって、さも当たり前のことを詠んだ叙情的なものにとらえることができます。ところが、この歌には極めて広く深い含蓄(がんちく)があります。すなわち、「まく種のすぐに」という部分には、「時間的に速やかに」という意味と、「米という品種ならば、米の種は米の花・米の実へと間違いなく生育し、発展する」という意味とがあるということです。このことを自分自身に当てはめてみるとどうなるでしょうか。
まず、一つ目の意味でこの歌についてとらえ直してみましょう。そうすると、「まいた種は瞬く間に成長し、花が咲いたと思えばすぐに実になった」という冒頭の意味になります。みなさんの多くは、新年度が始まり、新たな気持ちで頑張ろうとしていることでしょう。しかし、時間はあっという間に過ぎていくものだということを忘れてはなりません。
次に、二つ目に意味でこの歌について考えてみましょう。すると、「まいた種はそのまま成長し、花が咲き、実がなる」という意味になります。この「そのまま」という部分について、みなさんはどう考えるでしょうか。
「男子三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ」ということばがあります。これは「日々鍛錬する人がいれば、その人は三日も経つと見違える程成長しているものだ」という意味です。
時間というものは、放っておいてもどんどんと流れていきます。その流れに身を任せて「そのまま」時を過ごすのか、「すぐに」花となり、実がなる時期が来るのだから、その時間の使い方を再考し、有用なものにしていくのか。新年度が始まるにあたって、今一度考えてみてはいかがでしょうか。

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