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[2022.11.1]

今月のうた・ことば

十一月のことば
世の中刃物を取り遣(や)りするに、刃の方を我が方へ向け、柄(え)の方を先の方にして出すは、是(これ)道徳の本意なり
 
 「道徳」という言葉を一言で説明するのは、難しいものです。しかし、尊徳先生はその本質を、わかりやすい言葉で示されています。「そのはさみをとって」と言われたら、みなさんはどのようにして相手に渡すでしょうか。刃の方ではなく、持つ柄を相手に向けて渡すのではないでしょうか。万が一誤りがあった時に、自分は傷ついても、相手は傷つけまいという心から、刃物はこういった取り扱い方をするのです。危険に配慮するという、相手への気遣いや、思いやりそのものが道徳なのです。

 さて、はさみであれば、誰もが刃の方を自分に向けて、柄の方を相手に向けて渡すことができるとは思います。しかし、日々のいかなる場面でも、はさみを渡す心持ちで臨めるかどうかとなると、難しくなってきます。自分は損をしても、相手に損はかけないようにしようという心でいられるでしょうか。自分の名誉は傷つくとも、相手の名誉に傷をつけまい、という心でいられるでしょうか。こう考えてみると、尊徳先生の教えのなかでも、最も重要な「譲る」という精神にも関わってきます。自分がやられて嫌なことは相手にもしない、ということが社会生活の基本です。そこから一歩進んで、相手がしてもらったら嬉しいことを、自分は多少損をしてでもやってみようという心遣いを身つけてほしいと思います。友達にペンを貸す時、あるいは借りたとき、どちらを向けてわたすでしょうか。先生に提出物を渡す時、どちらの方向を向けて渡しているでしょうか。身近なところから、はさみを渡す心を押し広め、実践していきましょう。

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