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[2023.7.1]

今月のうた・ことば

七月のことば
 何事も事足り過ぎて事足らず
  徳に報ゆる道の見えねば

尊徳先生の道歌の一つです。携帯電話、メール、インターネットが急速に普及し、居ながらにして瞬時に情報を交換できるようになりました。高速道路網や鉄道網の整備が進み、空路による輸送も高速化・大量化に拍車が掛かっています。24時間営業のコンビニやファーストフード店があちらこちらにできて、私たちの生活はますます便利になります。尊徳先生の生きた江戸時代にはもちろん電話もなければ人間が空を飛んで海を渡ることなど考えられませんでした。衣食住満ち足りて、この後何を私たちは求めるのでしょうか。
 人は現在の生活環境が全て当然だと考えて、「まだ不足だ」「まだ不満だ」と訴えることがよくあります。たとえ、天地、社会、親等に対して恩を感じたとしても、その徳を知り、それを尊敬する人はなかなかいません。色々な出来事があっても、現在こうして無事に生きて生活していることを、今の自分として尊重し、それを基礎として、分度をわきまえた生活を計画し、営んでいけるのであれば、必ず今以上の心豊かな生活が送れるようになるでしょう。天から授かったこの命、親から授かったこの身体、様々な人の努力によって作られた様々なものによって、また、無数の動植物の命を食事としていただいて私たちは命をつなぎ、生活を維持しています。ここに恩を感じ、「徳」として尊敬することが「報徳」の出発点です。私たち人間にはすばらしい可能性、すなわち「人格」があります。だとすれば生物や人々の努力によって作られるもの、つまり万物には「物格」があるべきでしょう。
 私たちは利便性を追求する中で多くのものを失い、かけがえのない地球環境にも悪影響を及ぼしています。あれもほしいこれもほしいという前に、また現状に不満を述べる前に、万物が有する物格に恩を感じ、感謝の気持ちを忘れずに生活を送ってほしいと思います。

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