[2025.1.1]
一月のことば
見渡せば遠き近きはなかりけり
己おのれが住処にぞある
報徳生の皆さん明けましておめでとうございます。
この歌は、「解説 二宮先生道歌選」にある「遠近の歌」と題されているもので、内容は以下の通りです。
私たちは普段の生活の中で、遠近や方角を意識して生活しています。例えば、報徳学園がある西宮市から東京に行くと考えた時には、おそらく大半の人が遠いと感じると思いますが、西宮市から大阪に行くと考えると、大半の人が近いと考えるのではないかと思います。また、日本の南側には沖縄があるといったように、普段の生活の中から遠近や方角を意識して生活していますが、二宮先生の歌では、遠き近きはなかりけりとあります。これは、視点を変えてみると遠き近きもないということを示しています。歌の解説の中では、江戸や長崎を例に出して、江戸から見た長崎、長崎から見た江戸はそれぞれ大半の人々が遠く感じますが、外国からそれをとらえたときには、ただの日本という一つの国に過ぎず、天空から地球を見ると国どころか一つの球体に過ぎないとあります。つまり、遠近や方角を意識して生活していくことはもちろん生きる上では必要不可欠でありますが、大事なのは自分の住処、自分自身の立脚地だということになります。
さて、年が明けていよいよ新年がスタートしました。報徳生の皆さんは今年の自分自身の目標は立てましたでしょうか。この歌にあるように大切なことは自分自身を見つめなおすことです。周りを見たり周りと比べたりするのではなく、現在の自分を見つめなおし今年の目標を立てましょう。目標を立てた後には、目標を行動に移しましょう。
今年も報徳生一人ひとりが様々な場面で活躍されることを期待しています。また、高校3年生のみなさんは、いよいよ共通テストがあります。今までの努力が実るように精一杯頑張ってください。応援しています。