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[2022.9.1]

今月のうた・ことば

九月のことば
           分度を守る
 
「盛衰(せいすい)治乱(ちらん)存亡(そんぼう)の本源は、分度を守ると守らざるとの二つにあり、我この分度を守りて領中衰廃(すいはい)を興(おこ)し百姓を安んじ上下百年の艱難(かんなん)を免れしむ。子孫永く我が志を継ぎ、富(ふ)優(ゆう)の時に居ると雖(いえど)も本源たる分度を確守(かくしゅ)して戻らざるときは、永世上下の福余りありて衰微(すいび)の憂(うれ)ひなし。」

 『報徳論』の中にある言葉で、素読の教本にも掲載されている一節です。現代語に訳してみると、以下のようになります。「物事(国や組織も)が盛んになったり衰えたりすることや、世の中が平和に治められたり混乱したりすることや、存在し続けるか滅びてしまうかと言うことの大本は分度を守るか守らないかということに掛かっている。私も自分の分度を守って立て直しを任せて頂いた藩のご領地の中の停滞している土地を発展させ、そこに暮らす百姓の暮らしぶりを安定させて、上に立つ藩の役人や、その下で働く人々の心配、苦労を百年に亘って取り除かせた。子孫の人たちが末永く私のこの気持ちを受け継いで世の中が豊かになった時であっても、大本にある分度ということをしっかり守って、後戻りしなければ、未来永劫(えいごう)、上に立つ者もその下で働く人たちも幸福に満ちて、衰退する心配などないのだ。」

 皆さんも含めて人間は社会生活を送る中で様々な組織に所属して、役割を与えられて生きてゆきます。社会を維持するためのその組織が上手く機能するか機能不全に陥ってつぶれてしまうかは分度を守る人の資質次第で決まるという事をこの一節は述べている訳ですが、皆さんが生涯に亘(わた)って役立つ大切な行動指針に、十代のうちに出会えた事は素晴らしいことだと思います。中学、高校、会社とその時々に所属している組織の中にあって今の自分にとって「分度とは」という事を考えていきましょう。

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