報徳教育部(今月のうた・ことば)

[2019.9.2]

今月のうた・ことば

九月のことば

 曇らねば誰(た)が見てもよし富士の山
         うまれ姿でいく世経(ふ)るとも

「富士は日本一の山」 童謡にもあります通り、多くの日本人にとって富士山は日本の象徴ともいうべき秀峰です。国内最高峰というだけではなく、その姿や形にも他の山を凌駕する麗しさがあります。
新幹線に乗って東京方面へ向かう時、静岡駅を過ぎたあたりから乗客は左側の窓を気にし始めます。その車窓に雄大な富士山を見ることができれば、その日の旅はより印象深いものになることでしょう。
 江戸時代の日本人は、食はもとより衣や住に関しても必要なものを自然から得て生活してきました。そんな自然の徳に感謝し、子や孫たちが持続的に使い続けることができるように推譲の心をもって接することが不可欠です。富士山が日本の自然の象徴であるとすれば、徳を積んで秀峰富士が存在すると考えることもできます。
古来より日本人は神の存在を広く考えていて、自然万物や現象に神が宿るという宗教観を持っています。いわゆる「八百万の神」とよばれるものですが、山や川、巨樹や巨石などを目の前にすると誰もが敬虔な気持ちになります。
金次郎の生まれ育った小田原・栢山の里からも、田園風景の背後に悠々とした富士山を見ることができます。箱根外輪山の向こうにそびえる富士山を仰ぎ見て、金次郎も大いなる自然の徳を感じていたのではないでしょうか。
今も昔も富士山は変わらぬ姿でそこにあり、多くの日本人を魅了し続けています。そしてこれから先も日本の自然の徳の象徴として、称賛され続けることでしょう。

←戻る

ページトップ