六月のことば
苦と楽の花さく木々をよく見れば
心の植ゑし実の生えしなり
この歌は、『解説 二宮先生道歌選』にある「反省の歌」と題されているものです。
二宮尊徳先生は、作物などを育てるとき、米を植えれば米ができ、小麦は最後まで小麦であるという普段生活しているときには考えもしない、ごく当たり前のことから、人の感情や言動も同じであると考え、人生は現在の境地(その人が置かれている立場)を直視して、自らまいた種の生育したことを反省するべきであるとこの歌を作りました。
しかし、世の中には、自分の行動を反省する人もいれば、自分の行動を是認し、道理づけようとする心情が強くなる人もいます。
例えば、道路を通行して石につまずいたときは道路工事が悪いと言い、分度生活を怠った借金であっても、物価が高騰したと責任を回避します。対人関係においても、自分を守り、相手を攻撃することが少なくありません。このように、一生懸命に面目を保とうとして、日々の中で反省しないと小さな功績も現れません。
新年度がスタートして2か月が経過しました。この文章を読んで、みなさんに実践してほしいことは、自分のまいた種が「良い種」であったのか、「悪い種」であったのかを考えることです。そして、育て方は良かったのかを振り返ることです。君たちのまいた種は、まだまだ生育途中です。これまでの生育が悪かったとしても、言い訳をせず、自分の言動を見つめ直してください。これからの生育の仕方次第で、何事においても良い方向に変えることができます。