報徳教育部(今月のうた・ことば)

[2017.4.10]

今月のうた・ことば

四月のことば
 以徳報徳
 我が教へは、徳を以て徳に報うの道なり。

 まさしく、私たちの学園生活の根幹を成している言葉です。論語に見られるこの「以徳報徳」という言葉ですが、二宮尊徳の考える「徳」とは決して特別な美点や善根をさしているのではありません。
「世の中のあらゆるものにはそれぞれのよい所、価値がある」、それを尊徳は「徳」と表しました。その「徳」は自分ひとりで持ち得たものではありません。家族や先祖、先生や仲間(その家族や先祖)、自分のためになってくれたあらゆるもの(を作った人やその先祖)など限りない人やものたち、それを生み出してくれた自然の営みすべてのおかげで身につけることができたのです。その「徳」に報いるために人は真摯な心で勤めその価値を生かすべきである、人の社会というものは天地万物の「徳」が相和する中で成り立っており、自身が今こうして生きていられるのはその「徳の相和」のおかげである、と考えるのです。その思いは自ずと他への感謝の念を生み、感謝の心は自己の「徳」の発揮につながる。そしてそのことが他者の「徳」の発見や引き出しにつながっている。そこにひたすら努めることで人々の社会の幸せに貢献できるのだ、との思いです。
 恩を忘れないか、忘れるか。報徳の心を持つか、忘れるか。このことが人として歩むべき道の分かれ目なのかもしれません。私たちの学園名に冠された「報徳」とは、人としてあるべき姿を示してくれる、時世を超えた考えなのです。

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