報徳教育部(今月のうた・ことば)

[2018.11.1]

今月のうた・ことば

十一月のことば

翁曰はく、若き者は、毎日能く勤めよ、是我が身に徳を積むなり。
怠りなまけるを以て得と思ふは大なる誤なり。

 「勤める」とは努力して何かを行うことであり、時には苦しいこともを我慢して行ったり、気が進まないことでも無理をして行うことも含みます。仕事や勉強に精を出して毎日努力すれば様々なことが身につき、それがその人の長所となり、人格を形成します。
 一方私達は好きなスポーツやレクレーションは別として、疲れることはやりたくないし、手間がかかって面倒なこともやりたがりません。難しい公式や漢字、英語の単語などを覚えるのは、気が進みません。また、好きなスポーツの部活動に入っているにもかかわらず、ハードなトレーニングはやはりいやになります。勉強もスポーツも、あるいはその他の文化活動も、尊徳先生の教えの通り「毎日能く勤めよ」であります。部活動の練習が休みになったり、何かを誰かにしてもらって自分の手間が省けたとき、得をしたような気持ちになりますが、実はこれは大きな誤りです。手間をかけることで他人の役に立ち、我が身に徳を積むことになります。
 我が身に徳を積む第一歩は行動することです。立ち止まっていてはいけません。まずは小さなことでもかまいません。必要なことは面倒くさがらずにやりましょう。例えば教室や廊下、そして駅に落ちている紙くず、ゴミです。拾ってきれいにしてみませんか。駅や道路といった人の多いところでゴミを拾うのは勇気がいるかも知れません。だからこそ行動力が養えます。教室掃除、私物の整理整頓、生活環境の清潔清掃、これらを嫌がらず、面倒と思わず実践しましょう。ゴミを拾う人はゴミを落とすことはありません。また、ごみが落ちていないきれいな環境を作っていけば、自然とゴミを捨てる人も減っていきます。
 「足もとの紙くず一つ拾えぬ程度の人間に何ができよう」「人間が謙虚になるための手近な、そして着実な道は、まず紙くずを拾うことからでしょう。」日本屈指の教育者森信三先生の言葉です。人間は謙虚さを失うと成長が止まります。ゴミを拾って謙虚な気持ちを維持し、行動力を身につけ、自身に徳を重ねましょう。楽をすることは決して得・徳にはなりません。

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